2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧
定家の、 春の夜の夢のうき橋とだえして峯に別かるゝよこ雲の空 (新古今 春歌上 38 藤原定家朝臣) の哥は、春の夜の夢打覺めて見出したれば、峯によこ雲の立ち別るゝ折也。そのなりをそのまゝにてよくいひ出したる也。 夢のうき橋とだえして峯に別るゝ と…
家隆は、詞きゝて颯/\としたる風骨を詠まれし也。定家も執しおもはれけるにや、新勅撰には家隆の哥をおほく入れられ侍れは、家隆の集のやう也。但少し亡室の躰有りて、子孫の久しかるまじき哥ざま也とて、おそれ給ひし也。 雅經は秀句をこのまれしほどに、…
正徹日記 此道にて定家をなみせん輩は、冥加も有るべからず、罪をかふむるべき事也。其末流二條冷泉兩流にと別れ、摩醯首羅の三目のごとく也。たがひに抑揚褒貶あれば、いづれをさみし、いつれを以てなすべき事にもあらざるか。此等の一流の皆わづかに一躰を…
かくて筑紫におはしつきて、ものをあはれに心ぼそく思さるゝ夕、をちかたに所々煙立つを御覽にじて、 夕されば野にも山にも立つ煙なげきよりこそ燃えまさりけれ また、雲の浮きてただよふを御覽じて、 山わかれ飛びゆく雲のかへり來るかげ見る時はなほ頼まれ…
鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜飽かず降る涙かな 読み すずむしのこゑのかぎりをつくしてもながきよあかずふるなみだかな 詠人 靫負命婦 いとゞしく虫の音繁き浅茅生に露置き添ふる雲の上人 読み いとどしくむしのねしげきあさぢふにつゆおきそふるくもの…
宮城野の露吹き結ぶ風の音に小萩が本を思ひこそやれ 読み みやぎののつゆふきむすぶかぜのおとにこはぎがもとをおもひこそやれ 詠人 桐壺帝 荒き風防ぎし蔭の枯れしより小萩の上ぞ静心無き 読み あらきかぜふせぎしかげのかれしよりこはぎがうへぞしづこころ…
限りとて別るゝ道の悲しきにいかまほしきは命なりけり 読み かぎりとてわかるるみちのかなしきにいかまほしきはいのちなりけり 詠人 桐壺の更衣 背景 源氏が三歳の御袴着を行った年の夏、更衣は病気が重くなり、母君が涙ながらに奏上して、宮中を退出する時…